「大丈夫か?」

蜘蛛野がそう呼びかけると、蝙蝠男は力なく頷いた。
蜘蛛野は溜息を1つ吐くと「ここで少し休もう」と、蝙蝠男を近くにあったベンチに座らせる。

「・・・傷はどうだ」
「あぁ、だんだん治ってきている。もう大丈夫」

本当に大丈夫なのだろうが、本より血の気の無い顔をしている蝙蝠男である。
あまり大丈夫そうには見えない。
蜘蛛野はある違和感を覚えた。
隣で休んでいる蝙蝠男と一緒にいる時間が、あまりにも長い時間に思えた。

「・・・・・・あのさ、今ちょっと思ったんだけど」

ポツリと蜘蛛野が言った。蝙蝠男が顔を蜘蛛野の方に向ける。

「俺たちの目標ってショッカーの再結成だよな?」

そう問うと、蝙蝠男は当たり前じゃないかと頷いた。
蜘蛛野はその蝙蝠男の表情の内に秘めた「改まって何を言うのか」という疑問を読み取った。

「ほら・・・何つーか・・・俺達って一般人より強いだろ?特殊能力もある。
だったら、国会議事堂とか自衛隊基地とか襲って一気に日本潰すってのは出来るんじゃねぇかとか・・・・」
「2人じゃ流石に無理だろ。ライダーが邪魔するだろうし」
「そうか・・・・・・そうだよな・・・」

沈黙が2人の間に流れる。
居心地は悪いわけではないが、互いに顔を合わせるのは憚られた。
暫くして、あ、と蝙蝠男が声をあげた。

「外国に行ってみるか?ライダーもいないし、仲間がいるかもしれないし」
「・・・あぁ!」

なるほど、それならいけるかも。蜘蛛野もそう思った。

「じゃ、アメリカ行こうぜアメリカ!俺達みたいなの結構居るだろう」

それならば急いで準備を、と意気込む2人。
が、しかし・・・・・・・。

「・・・あ・・・・・」
「どうした」

蜘蛛野が急にトーンを落とす。
蝙蝠男は何が起きたのかとばかりに蜘蛛野を見つめる。

「俺・・・行けない」
「え、何でだよ!」
「家族・・・いるんだ」
「なんだよそれ!」
「・・・・ごめん」

信じられない、といった表情で蝙蝠男は蜘蛛野を呆然と見つめる。
冗談などではない、本当にアメリカに行くことを拒んでいる蜘蛛野の様子に蝙蝠男は苛立ちを覚えた。

「もういいよ!俺ひとりで行くよ!」

そう豪語し、蜘蛛野の反応を待つ。
「そうか」と低いトーンを認識すると、蝙蝠男は今度こそその場を後にした。
蝙蝠男の姿が見えなくなる。蜘蛛野は蝙蝠男の去った方向を見つめた。



もう、止めてよ世界征服なんて・・・
助けてくれ、今ライダーに追われてるんだ!

別に、あなた一人居なくたっていいじゃない!
追いつかれたらとりあえず闘うけど・・・できるだけ早く来てくれよ!

・・・だからって、あなたまでやられに行くことないでしょう!
・・・追いつかれた、今から戦闘体勢に入る!

そう言って皆、倒されてるじゃない!

ねぇ、考え直してよ・・・


馬鹿ぁ!ろくでなし!人殺し―!お前なんか死んじまえぇえ!!


・・・・・・・・・・・

「仕方、ねぇだろ・・・」

蜘蛛野はクモ男から通常の姿に戻ると家路についた。




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